ファイナイト保険【損害保険用語】

ファイナイト保険ほけんとは

保険会社に移転されるリスクが限定される保険

ファイナイト保険は、企業のリスク保有と保険の組み合わせで、近年米国で発展してきたものです。

ファイナイトとは、「限定された」という意味で、限定的に企業が保険会社にリスクを移転するものです。

なお、ファイナイト保険という名前の保険商品があるわけでなく、ファイナイトの特徴を持った「仕組み・引受スキーム」全体の事をファイナイト保険と称しています。

この手法においては、保険引受けリスクは移転されないものの、期間のリスクあるいはタイミング・リスクと呼ばれるリスクが移転されます。

したがって、この手法は狭義のARTとも違っていて、その意味では中間的なARTといえます。

また、ファイナイト保険は、企業から保険会社へのリスク移転は限定的であるにもかかわらず、従来の保険形態では保険会社に引き受けてもらえなかった特殊なリスクや巨大なリスクの保険化が出来る事や、リスクが顕在化して事故が既に発生したもの(ただし、事故による損失負担額が未確定のもの)についても遡及的そきゅうてき(時間的に過去にさかのぼって)に保険化が可能である事など、企業にとって非常に有用な保険商品であるといえます。

例えば1980年11月に宿泊客ら85人が死亡したアメリカのラスベガスのMGMグランドホテル火災では、ホテル側は事故発生後に賠償責任リスクを担保する保険期間遡及保険を手配した事がありました。

この保険は、事故発生を知った後に賠償責任開始日を事故発生前に遡及させたうえで、事故発生ベースの保険契約(ここでは賠償責任保険)を締結するものです。

保険会社としては、保険料の収受から賠償保険金支払までに相当の期間を要し、その間に保険会社は受領した保険料を高利回りの投資に回して運用益を稼げると判断したものであり、保険料は見込み支払額よりも大幅に割り引かれたものになりました。

ここでは通常の保険リスクの移転は行われず、賠償金支払のタイミング・リスクだけが移転された事になります。

要するに、ファイナイト保険はリスクの移転が限定的だからこそ可能になった商品設計であるともいえます。

また、ファイナイト保険は、元受保険として行われるだけでなく、再保険としても行われます。

この場合、元受保険会社の損失の先送りの機能も持っていて、「財務再保険」とも呼ばれます。

※ファイナイト保険は、米国の保険危機をキッカケに、「企業の自己防衛策」として普及してきたものなのです。