大雪で自宅が倒壊した

大雪が降った事で、自宅の屋根に雪が積もりすぎて自宅が倒壊してしまった場合、火災保険の補償対象になるのでしょうか?

今回はこの雪災で自宅が倒壊した場合はどうなるのかについて、平成9年に秋田地方裁判所で出された判決も参考にしながら解説します。

保険会社によって見解が分かれる

東京海上日動火災保険の場合

東京海上日動火災保険の約款に書いてある雪災の定義を見ると、「降雪の場合におけるその雪の重み、落下等による事故または雪崩をいい、融雪水の漏入もしくは凍結、融雪洪水または除雪作業による事故を除きます。」と書いています。

この意味は、「雪災」には、日常的な雪によって自宅が潰れた場合も含まれる事になるので、東京海上日動火災保険の場合は補償の対象になると考えて良いでしょう。

損害保険料率算出機構の場合

損害保険料率算出機構の約款には、雪災の定義を「豪雪の場合におけるその雪の重み、落下等による事故または雪崩をいい、融雪水の漏入もしくは凍結、融雪洪水または除雪作業による事故を除きます。」と定義されています。

東京海上日動火災保険には、「降雪に場合に・・」に対して損害保険料率算出機構には「豪雪の場合に・・」と、雪災の定義の範囲を異常気象によるものに限定している意図が含まれています。

しかし、実際に豪雪なのかどうかを明確に判断することは難しいです。

「豪雪」を文字通り解釈すれば、単なる雪であれば保険の対象外になるように思えてしまいますが、例えば北海道では普通の降雪量でも、同じ雪の量が東京で降った場合は「豪雪」とも言えてしまうからです。

裁判所の判例を見てみる

上記の様な「雪災」の定義が平成9年の秋田地方裁判所で争われた過去があります。

秋田県の山本郡山本町にある養鶏場が、雪災によって屋根が落下してしまった事故が発生し、この事案が東京海上火災の雪災の補償対象になるかどうかが裁判によって争われたのです。

※現在では、東京海上日動火災保険の約款には、日常の雪災による被害も補償対象になる趣旨が書かれていますが、この当時では明確な定義が無かったそうです。

当時の裁判で、東京海上火災側の主張は、「雪災とは、異常な気象状況によって生じた雪による災害を解すべきであり、異常性のない日常的な雪によって万が一被害が生じたとしても、保険金支払いの対象とはならない。異常な気象状況とは、それぞれの地点で、月間平均気温や月間降水量が過去30年間、あるいはそれ以上にわたって観測されなかったほど平均値から著しく偏った場合の天候、言い換えれば、30年以上経験しなかったほど希で、極端な天候を意味する」と主張したのです。

この時点では、約款に雪災の定義規定は明記されていなかったようです。

裁判の判決では、「雪災の定義については、店舗総合保険普通保険約款に明示されていないし、必要にして十分な定義づけをすることも困難であるから、結局のところ、社会通念及び保険の目的にしたがって判断するよりほかない」という見解になりました。

さらに、「店舗総合保険普通保険約款上、雪災を右のように限定する条項はなく、保険事故として風害と並んで【豪雪、なだれ等の雪災】が明記されている本件保険契約において、原告側も30年に1度の天災の為の保険契約と理解して契約したわけでもなく、雪災の定義を30年に一度の規模の降雪の様な極端に限定して理解しなければならない理由はない」と判断されました。

もともと秋田県の山本郡は、特別豪雪地帯指定地域に指定されている場所だったので、毎年多くの雪が降ります。

しかし、この養鶏場の屋根が崩落した時は、この地域でも7年ぶりの大雪だったそうで、例年よりも遙かに多くの降雪によって事故が起きてしまったのです。

判決は、「社会通念上で常識の範囲内で判断すべきで有り、7年ぶりの大雪による被害なのだから、本件事故は【雪災】に該当すると判断するのが妥当である」となり、保険金が支払われる事になったそうです。

まとめ

上記の裁判所の判例を前提に考えた場合、豪雪地帯対策特別措置法で豪雪地帯、特別豪雪地帯指定地域と指定されている地方であっても、数年ぶりの大雪ということであれば「雪災」に該当すると理解する事が出来ます。

しかし、今回ご紹介した事例があったからといって、簡単に「豪雪」の該当性を一律に判断することは難しいです。

なぜなら、同じ1メートルの積雪でも、北国では異常気象でなくても、東京で1メートルの雪が降ると「豪雪」と判断される可能性があるからです。

また、「異常気象による被害」と認定する基準にはもうひとつの考え方もあり、「当該物件だけでなく、多数の物件に損害が発生した場合に、その原因となった気象について異常気象と認定するべき」という解釈が一般的になってきています。

結論を言えば、「雪で自宅が倒壊した場合、多くのケースでは補償の対象になりますが、保険会社によっては見解が異なる場合もあるので、絶対に補償対象になるとは言い切れない」という結論になります。

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