ガス爆発は火災保険の補償対象になる?

例えば、今生活している住宅の前の道路で、何かしらの原因によってガス管が爆発してしまい、その爆風で自宅の玄関が壊れてしまった場合、「これは火災保険の補償対象になるのか?」という疑問を抱くケースが有り得ます。

そこで今回は、自宅前のガス爆発が補償されるかどうかを解説してみたいと思います。

破裂・爆発の定義とは

まずは「破裂・爆発」の定義から考えてみましょう。

専門書で調べてみると、東京海上日動火災保険の約款には「気体または上記の急激な膨張を伴う破裂またはその現象をいいます。」と破裂・爆発の定義が書かれています。

単に「爆発」ではなく、「破裂・爆発」となっているのは何故か?単純に「爆発」だけでも良いように思えます。

この理由は、かつて爆発の定義について議論があった事のなごりによるものです。

広義の爆発と狭義の爆発とは

少し説明させて頂くと、「爆発には広義と狭義がある」とされていて、広義の爆発には、狭義の爆発に加えて「破裂」を含むものと議論されていました。

1978年に成文堂から出版された「火災保険研究」の書籍によると、広義の爆発とは以下の様なものだそうです。

  1. 火薬、ガスなど本来爆発性を有するものの爆発
  2. ボイラーの様な本来爆発性物質でないものが、火の急速な加熱により破裂する場合
  3. いわゆる化学変化もしくは気圧変化によるものである

さらに、上記の専門書には「狭義の爆発」にも触れていて、以下の様に書いてあります。

狭義の爆発とは、火災同様に一種の燃焼作用であり、ただ火災と違う点は燃焼の速度が甚だしく急速であり、かつ音響を伴うことである

いわゆるガス爆発等は、上記の「狭義の爆発」にも該当することになります。

かつて、火災だけが保険事故とされていた為、「破裂・爆発」と「火災」との違い、あるいは火災から爆発が生じた場合、またはその逆の場合等を「火災」に含むかどうかという事が議論されてきました。

現在では、火災及び「破裂・爆発」は、いずれも火災保険の保険事故となるので、両者を区別する事の意味は無くなっています。

まとめ

未だに論点として残っているのは、当該保険事故は、「破裂・爆発が建物の内部で起きる場合に限定されるのか?」、それとも「周辺で破裂・爆発が発生し、それによって建物に損害が発生した場合でも補償の対象になるのか?」という問題があります。

1995年に中央経済社から出版された「注釈住宅火災保険普通保険約款」の59ページには、「至近距離で破裂・爆発が発生した場合は、建物の内部で生じていなくても保険事故に含む」という解釈が書かれています。

この見解によれば、自宅前の道路は自宅の至近距離といえるので、爆発として補償対象になると考える事が出来ます。

これに対して、「遠隔地で破裂・爆発が生じた場合に補償対象となるのかどうか?」ですが、平成28年の高松高等裁判所の判例を参考にすると、遠隔地での破裂・爆発による自宅の損壊は、補償対象になる可能性は低くなってしまうのです。

しかし、遠隔地で破裂・爆発が発生して火災が発生し、その延焼によって自宅が焼損した場合等は、「保険の目的物である自宅に火災が発生している」状態なので、当然ですが、火災保険の補償対象事案になります。

結論は、すぐ近くでの破裂・爆発による損害は補償されるけど、遠い場所での破裂・爆発によって自宅の窓ガラスが割れたりしても、補償の対象になる可能性は低いという事になります。

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