保険に加入する事を検討している方、または現在加入している保険について良く理解できていない等、難しい保険商品について疑問や悩みを持っている方も多いと思います。

そんな悩みを持っている方向けに、日本国内では無料で相談に乗ってもらえる組織が複数あります。

その中の一つが一般社団法人「生命保険協会」という組織です。

この法人は1898年設立で100年以上の歴史があり、保険商品に関する相談や保険会社に対する苦情案件も受け付けています。

国内のほぼ全ての生命保険会社がこの協会の会員になっていて、保険に関する情報の提供や理解促進に全面的に協力している健全な組織です。

今回はこの「生命保険協会」が公開している保険に関する相談件数やその具体的な相談及び苦情内容がどんなものなのかを検証してみたいと思います。

10年間の保険相談件数の推移

下記のグラフは、「生命保険協会」が発表している保険相談の統計データを参考に作成しました。

平成20年度から平成29年度までの10年間の保険相談件数の推移になります。「一般相談」と「苦情相談」の2つのカテゴリに分かれていて、それぞれの件数と2つのカテゴリの合計も表示されています。

保険相談件数の10年間の推移

上記のグラフを見てみると分かる様に、全体の保険相談件数が毎年の様に少なくなっているのが分かります。

平成20年度は全部で17716件だったのに対し、平成29年度には7812件まで半分以下に減少しています。10年間で55%以上の減少率となっているのです。

平成23年度だけは例外で前年度より増加しいますが、これはおそらく2011年の3月11日の東日本大震災の影響で、保険相談が急増した事によるものです。

それ以外では毎年確実に「一般相談」、「苦情相談」両方が減少しているのがお分かりだと思います。

一般相談件数の推移

下記に10年間の「一般相談」の統計データを記します。

平成20年度は10,100件だったのですが、10年後の平成29年度は3,593件に減っています。減少率は約64%と大きく減少しています。

一般相談件数の10年間の推移
年度 一般相談件数
平成20年度 10,100
平成21年度 8,156
平成22年度 7,844
平成23年度 9,593
平成24年度 7,437
平成25年度 6,083
平成26年度 6,067
平成27年度 6,064
平成28年度 4,667
平成29年度 3,593

苦情相談件数の推移

苦情相談も大きく減少していて、平成20年度は7,616件だったのに対し、平成29年度は4,219件でした。こちらの減少率は約45%の減少になっています。

【苦情相談件数の10年間の推移】
年度 苦情相談件数
平成20年度 7,616
平成21年度 7,076
平成22年度 6,623
平成23年度 6,458
平成24年度 5,697
平成25年度 5,463
平成26年度 5,186
平成27年度 4,724
平成28年度 4,744
平成29年度 4,219

これらのデータを見ると、毎年確実に相談件数が減少しており、生命保険協会の存在意義が高い事が分かります。生命保険協会は47都道府県に相談事務所を設置しているので、毎日何処かの事務所に連絡が来ているようです。

生命保険協会に相談する人の97%余りが電話での問い合わせで、実際に事務所に相談に訪れる人は約2%と非常に少なく、基本的に各都道府県に設置してある事務所に電話が掛かって来て、電話での相談に応対する業務が日常のようです。

相談件数の減少傾向について、この減少傾向は偶然なのかどうか?

そこで他の統計データも一応見てみたいと思い、独立行政法人「国民生活センター」のデータも調べてみました。

この国民生活センターに寄せられた「生命保険に関する相談」は、2015年7,877件、2016年7,694件、2017年6,466件、2018年6,058件というデータが公開されており、こちらも年々減少傾向になっています。

毎年確実に減少しているトレンドは間違いなさそうです。

この様に、生命保険について悩みや疑問を抱えている人に対してアドバイスをしてくれる利害関係の無い組織の存在は非常に重要だという事ですね。

具体的な相談内容

前項では全体の保険相談件数が減少傾向にある事はお分かり頂けたと思います。この項では、具体的な相談内容にはどんな内容が多く寄せられているか?を検証してみたいと思います。

相談内容には大きく分けて、一般的な相談の中で多い「保障内容の見直しに関しての質問」と、「保険会社に対しての苦情・クレームに関する質問」に分けて見ていきましょう。

保障内容の見直しに関する主な相談内容

保障内容の見直しに関する質問で、具体的に以下の様な内容が多い様です。

  • 保険会社に複数加入しているけど、保障内容の事がよく分からない。もしかしたら重複している部分もあるかもしれないから、一度見直しについて相談したい
  • 10年契約の掛け捨て保険に加入しているんですが、そろそろ更新の時期が近くなって保険会社の担当者から転換の勧めがあった。でもそのプランが今よりもかなり高額になってしまうので、一度相談に乗ってください
  • 友達が保険のセールスレディをしていて、付き合いで複数の保険に加入しているのですが、保険料が高くて経済的な負担が大きい。減額した方が良いのか解約した方が良いのか分からない

上記の様な問い合わせが比較的多く、基本的に保険に加入している人の保険の知識レベルが低い事が要因の内容が多くなっています。

保障内容がよく分からない事だったり、現在の保険商品を更新しても良いかどうか分からない事は、保険についての知識が少ない契約者の典型的な悩みです。

保険の事に詳しくないとしても、「今の自分にとって、どの保障を手厚くすれば良いか」程度の認識は持っておいた方が絶対に良いと思います。

苦情に関する主な相談内容

次に苦情に関する相談内容についてです。緑色の事例と合わせて見てみましょう。7種類ありますが、件数が多い順番に記載しています。

入院等給付金不支払決定

  • 生命保険会社の医療保険に加入してから2ヶ月後に癌で入院したので、給付金請求をしたところ、保険会社から告知義務違反で解除通告があった。健康診断の時に再検査を勧められた事があったのですが・・
  • 約1ヶ月の入院をしたのですが、外泊や外出が多くて、結果的に入院給付金が不可になってしまった。医師の指示で入院はしていたが、仕事の都合で外泊や外出をしていただけなのに納得がいかない

苦情の中で一番多いのが入院等給付金不支払決定に関する事です。

入院等給付金不支払決定とは、保険会社が被保険者(加入者)に対して、請求された給付金を払わない事です。

加入するときには、健康に問題無い事が前提となって契約する事が一般的なので、事前に保険会社に対して健康に問題がある場合に告知をしておく義務があります。

この義務を怠ると契約違反として給付金が支払われない事になりますので、加入する場合は必ず事前に健康問題について告知する事が大切になります。

外泊が多くて給付金が不払いになったケースも、例えば5日以上(5日連続)の入院で給付金が支払われる契約ですと、4日に1回外泊を繰り返すと給付金不払いになってしまいます。

ご自分の保険証券で内容を確認したり、保険会社に確認しておく事が大切だと思います。

説明不十分

  • 自分の母親が自分(子)と子供(孫)を契約者にした生前贈与の保険契約をしていて、私は書類を書いただけで事前に何も説明が無かった。後で確認したら2つの保険会社で10件もの契約をしている事が分かった。事前に私にも説明が欲しかった
  • 保険の営業マンに「月々数百円の保険料の追加で医療特約の保障内容が良くなります。」と勧められて契約転換をしたが、後でよくよく聞いてみると保険料の払込期間が65歳から終身に変更になっていて、転換前契約の積立金が保険料に振り替えられていた。説明されていたら契約しなかったのに・・

2番目に多い苦情が事前の説明が不十分な事による相談です。

営業マンから保険料の払込期間が変わることだったり、契約内容の説明自体を十分にしなかったことによって、後になってから「そんな話は聞いていない。説明も無かった」とクレームになるケースも多い様です。

保険の営業マンも契約数を稼ぎたいのは理解できますが、時々この様な自己中心的なやり方で契約を取ろうとする営業がいるようです。

契約する側も、説明を十分に聞いて納得するまでは契約書にサインしないで下さい。

不適切な募集行為

  • 夫を亡くした一人暮らしの高齢者(83歳)が外貨建変額個人年金保険に一時払い保険料で加入していた。担当者から丁寧な説明がなく、本人は預金を増やす程度に考えていたようで、為替のリスク等も全くといって良い程理解していない
  • 離婚した元嫁が元夫に説明も無く、元夫を契約者とする保険契約が締結されていた。元嫁が知り合いの営業職員と不正に契約締結した可能性がある

3番目に多いのが「不適切な募集行為」によるもの。

本人に内緒で身近な人が勝手に契約をしたり、お年寄りに高額でリスクの高い保険商品を契約させたりする事例も時々あるようです。

特にある程度の金融資産があるお年寄りが被害にあうケースが多く、非常に問題がある行為だと思います。

入院等給付金支払手続

  • 給付金の請求後に支払われた会社を比較すると、すぐに支払われた会社と支払いまでに時間が掛かっている会社があるが、新規の契約後に早い時期に入院や通院になった会社の方が時間が掛かる
  • 数年前に帝王切開で手術給付金をもらった事があり、今回の妊娠もその対象になるか担当者に確認したところ、支払いの対象になると回答があった。しかし、出産後に給付金請求をしようとしたら、支払い対象外だと言われた

契約後間もない時期に給付金請求をした時に、多少時間が掛かってしまう事例もあるようですが、これは正直致し方ないといえるかもしれません。

理想をいえば、契約後間もない人であっても給付金をすぐに支払われるべきなのですが、保険会社も一応念のために確認する項目があるので、保険会社を責める事はできないと個人的には思います。

2回目の帝王切開の場合は、保険会社によっては出産後〇〇年以内は2回目の給付金が支払われない等の特約事項がある契約もあるので、そのような特約事項は事前に確認しておかなければいけません。

しかし、担当者が間違って支払い可と言ったのに、実際は支払い不可となると、加入している人からすると納得がいかないのも理解できます。

解約手続

  • 保険の解約の申し出をしたところ、半年後でないと解約できないと言われた。その保険会社の相談センターに電話して聞いたら解約できると言われた。結局どっちなのか分からない
  • 長年、自分の親が保険に加入していたが、認知症になってしまい、介護費用が掛かるので保険の解約をしようとしたところ、解約の手続きは契約者本人でないと無理だと言われた

半年経たないと解約できない保険は基本的にありません。保険は基本的にいつでも解約できます。その基本的な知識を知っていれば、営業マンからそのような言動があっても影響されません。保険の解約はいつでも可能です。

契約者本人が認知症などによって解約手続きが出来ない場合、国の制度で「成年後見制度」を活用すれば手続きが可能になります。

成年後見制度とは、家庭裁判所等によって選任された成年後見人が本人に変わって財産管理等が可能になる制度です。

もし、認知症になってしまった後に本人以外の親族が手続きを希望する場合、この成年後見制度を活用すれば解約できるでしょう。

契約内容変更

  • 減額したのに、その減額が一部解約だった事を知らず、解約返戻金が既払込保険料を下回ってしまった
  • 払済保険への変更を申し出たが、保険金額が最低金額に満たないから変更は無理と言われた。担当者からはそのような説明は事前に無かった

上記の様なケースでは、やはり事前に担当者からの説明が不十分な場合があります。このようなケースでは契約者側が事前に把握する事が難しい知識の領域なので、担当者からの事前説明が無い時はどうしようもないというケースになってしまいます。

不適切な話法

  • 84歳の一人暮らしのお年寄りが、代理店に誘われて既存の契約を解約後、新契約に切り替えたが、保険料が以前より高くなり、入院給付金や手術給付金も下がってしまった。
  • 今まで加入していた年金保険より有利な条件だと説得され、既存の契約を解約して新しい終身保険の契約に切り替えたのに、その直後に担当者が退職して、事前の説明に間違いが多い事が分かった

高齢者に対して、本当にその人の為になるような保険商品ではなく、営業担当者の成績に繋がるような契約を持ちかけるケースは、まだ一部にあるようです。

殆どの営業担当者は、社員教育によってそのようなモラルハザードを起こさないように徹底されているのですが、まだ契約ノルマを達成できない精神的なプレッシャーによって、都合の良い事を言って契約を促す人がごく一部ですが存在しています。

各保険会社の苦情件数とその確率

これまでは生命保険協会に寄せられた相談や苦情を検証してきましたが、この生命保険協会に加盟している41社の生命保険会社に直接苦情が寄せられるケースもあります。

この項では、各保険会社に直接寄せられた苦情件数を調べ、苦情が寄せられる確率を各保険会社毎に算出してみました。

下記の41社の苦情件数、お客様の数、苦情確率をまとめてみました。上から苦情の確率が低い順番に掲載しています。

【平成29年度の各保険会社の苦情件数・お客様数・苦情確率】
会社名 苦情件数 お客様数 苦情確率
カーディフ生命保険株式会社 170 1,230,016 0.01%
アリアンツ生命保険株式会社 16 21,717 0.07%
クレディ・アグリコル生命保険株式会社 45 51,083 0.09%
三井住友海上あいおい生命保険株式会社 3,835 3,396,000 0.11%
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社 6,661 3,085,788 0.22%
太陽生命保険株式会社 5,657 2,079,543 0.27%
三井住友海上プライマリー生命保険株式会社 2,970 954,351 0.31%
SBI生命保険株式会社 301 93,500 0.32%
メディケア生命保険株式会社 2,166 622,508 0.35%
みどり生命保険株式会社 730 202,471 0.36%
第一フロンティア生命保険株式会社 4,483 1,229,243 0.36%
アクサダイレクト生命保険株式会社 349 94,515 0.37%
第一生命保険株式会社 34,871 8,132,237 0.43%
東京海上日動あんしん生命保険株式会社 14,648 3,376,969 0.43%
株式会社かんぽ生命保険 47,396 10,876,588 0.44%
ソニー生命保険株式会社 16,523 3,573,934 0.46%
日本生命保険相互会社 55,096 11,882,723 0.46%
エヌエヌ生命保険株式会社 920 196,379 0.47%
フコクしんらい生命保険株式会社 2,401 499,918 0.48%
T&Dフィナンシャル生命保険株式会社 1,161 238,386 0.49%
マニュライフ生命保険株式会社 4,952 953,993 0.52%
プルデンシャル生命保険株式会社 8,971 1,649,266 0.54%
ネオファースト生命保険株式会社 1,227 223,478 0.55%
FWD富士生命保険株式会社 7,209 1,254,979 0.57%
明治安田生命保険相互会社 38,285 6,513,093 0.59%
ジブラルタ生命保険株式会社 39,254 6,533,924 0.60%
オリックス生命保険株式会社 27,247 4,380,811 0.62%
メットライフ生命保険株式会社 57,886 9,272,127 0.62%
楽天生命保険株式会社 3,156 500,534 0.63%
アフラック生命保険株式会社 105,447 15,499,339 0.68%
チューリッヒ・ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド 6,177 842,494 0.73%
住友生命保険相互会社 55,412 7,001,352 0.79%
大樹生命保険株式会社 14,288 1,780,402 0.80%
朝日生命保険相互会社 17,388 1,992,292 0.87%
アクサ生命保険株式会社 24,720 2,471,581 1.00%
富国生命保険相互会社 17,830 1,775,418 1.00%
大同生命保険株式会社 10,160 809,304 1.26%
ライフネット生命保険株式会社 2,562 197,669 1.30%
PGF生命 6,565 490,755 1.34%
ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社 4,108 261,074 1.57%
ソニーライフ・エイゴン生命保険株式会社 1,354 84,040 1.61%

この41社のお客様数と苦情件数を全て合計し、41社全体での苦情確率を計算したところ、0.56%が平均の苦情確率となりました。

意外だったのは外資系保険会社の方が苦情確率が高いイメージがあったのですが、外資系保険会社でも苦情の確率が低い会社も多い事が分かりました。

外資系保険会社の方がクレームが多いというのは、完全に私の間違ったイメージだったという事が分かりました。

今回の分析で分かった事

今回の検証でデータや統計を調べて見た結果、以下の様な事が分かりました。

  • 保険相談は年々減少傾向にある
  • 保険会社の平均苦情確率はお客様一人あたり0.56%が平均値
  • 外資系保険会社の苦情確率は巷の噂よりも低い
  • 苦情やクレームになるケースは、営業側の説明不足と加入者側の知識不足

保険の相談件数というのは、各保険会社や保険協会の様な組織の啓蒙活動によって年々減少している事が分かりました。

苦情になるケースは平均0.56%と高くなく、クレームになるケースはかなり少なくなっているようです。

しかし、どうしてもクレームや苦情の相談がゼロにならないのは、営業側の説明不足が一部に見られる事、さらに加入者側でも保険の基本的知識が不足している事、この2つの要因で殆どのトラブルが起きている様に感じます。

今後さらに保険のトラブルを防ぐには、各保険会社の社員教育の徹底と加入者側も少しでも生命保険に関する知識を書籍等から身につける事が必須になるでしょう。

保険相談を受け付けている場所・団体

保険に関する相談を受け付けている組織は国内に複数有りますが、その代表的な組織をご紹介します。もし保険について悩みが有ったり、不満がある場合は一度下記にご紹介する組織に相談される事をお薦めします。

一般社団法人「生命保険協会」

全国の全ての都道府県に事務所を設置しており、電話や訪問での相談を受け付けています。もちろん無料で相談が可能なので、気軽にお問合せが可能になっています。

本拠地は東京に在り、下記が住所と連絡先になります。

電話での相談の場合

電話番号は、03-3286-2648になります。

訪問での相談の場合

東京都の場合の住所は東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル3階(生命保険協会内)になります。

公益財団法人「生命保険文化センター」

生命保険協会と同じ貸しビルに入居しているもう一つの組織が生命保険文化センターになります。こちらも無料で相談を受け付けています。

電話での相談の場合

電話番号は、03-5220-8520になります。

訪問での相談の場合

訪問される場合は東京都に事務所が有ります。住所は東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル3階です。

 

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